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受け付けないにも理由がある 映画「サバカン SABAKAN」感想

楽しみにしてて、やっと見た「サバカン SABAKAN」。たった一つがどうしても受け入れられず…。

 

感想書くけど多分きっとネタバレするので、まだ見てない方はこの先読まないようにしてください(あっ、映画館でエンドロールが始まっても席は立たないでね!間と終わりに素敵なシーンがありますよ!)

(感想はあくまで個人の感想です)。

 

 

 

 

 

映画「サバカン SABAKAN」を見てきたよ。草彅剛が出てるってだけで興味があったし、子どものロードムービーで、「STAND BY ME」を彷彿とさせるとの前評判で、オラ、わっくわくして行ったぜ!

 

で、ざっくり言うと「悪くない」。夏休み前のある出来事から久田と竹本(小学5年生くらい?)はイルカを見るためにブーメラン島を目指す。たった1日(朝5時から夕方だから正確には半日だけど)の少年たちの冒険の物語。

俳優人が皆うまい。誰一人浮いてないし、生活感がある。しいていうなら見始めた時は久田と竹本の配役は逆でも良かったかなとは思った。久田役の番野くんは実際に弟と兄弟役をやってるし適役っちゃ適役だけどルフィー感があるから竹本役をやったら違う魅力が出そう。竹本役の原田くん(原田芳雄さんのお孫さん!)は不良に蹴りいれるあたりでしっくりきた(それまで貧乏感が雰囲気と違うなぁって。めちゃめちゃスタイルがいいのよ)。

 

ブーメラン島への往復はいろんなことがあった割になぜかあっさり感じたのよ。なんでだろ?竹本が海で足つった久田を助けなかったのは、諦めがちな性格の久田を叱咤してたからだと後々理解できたけど、あれで久田に何かあったら目も当てられないぜ。自転車パンクしたり、柄の悪い兄ちゃんたちに絡まれたり、綺麗なお姉さんに助けてもらったり、一つ一つのエピソードはとても良かった。

 

じゃあ何が嫌なのかって、竹本の母ちゃんがぼうっとしてしまった理由。百歩も譲らなくていいけど、母ちゃんが死んじゃうのは映画のストーリーとしては許容できる。ただ、事故を起こす原因になった母ちゃんが信号無視をしてしまうような考え事をした原因が、学校から帰ってきた竹本の様子がおかしかったことなのが痛い。その顔を思い出して気がそれちゃったのさ。で、竹本にその顔をさせたのは久田。竹本の母ちゃんから聞いた竹本の言葉を、久田は竹本は自分のことを友達じゃないと思ってると解釈したため、新学期になって竹本を遠ざけたのさ。いやいや久田よ、賞をとるほど国語の才能があったんじゃないのかい?竹本の母ちゃんが言いたかったのは、竹本がそれほど久田のことが大事で大切に友情を育てたいって思ってるってことだろ?って突っ込みをいれたいが、なにせ久田は小学生。作文が書けても人の心理を読み解けないのは仕方ない。映画として二人が行き違いになるエピソードもあってもいい。だけど、そのために曇った竹本の顔のせいで母ちゃん殺しちゃいかんのよ。

ストーリーの流れとして竹本を転校させたかったのはわかるけど、母ちゃんを殺さなくてもできたし、母ちゃんの死が必要だとしても原因はそこじゃなくていい。

 

母ちゃんがなんで事故にあったかなんて誰もわかんないわけよ。だから久田が竹本になんの悪気もなく「友達だ」って言って竹本もそりゃ喜ぶのよ。でも見てる側はお前のせいじゃんって思うわけ。竹本も知らずにすんで良かったけど、母ちゃんはお前のこと心配して死んだんやでって思ってしまう。

誰かが死んだらとても悲しい。それでも話に無理がなければそういうシーンがあっても受け入れられる。「ミッドナイトスワン」の凪沙の死はストーリーの中で無理なく、そしてラストは希望の持てるもので。主人公が死ぬ映画なのに、最後はオレンジ色の小さな明かりが灯ったようで、気持ちがゆっくりほどけるような感覚がしたもんだ。

 

一方「サバカン SABAKAN」の竹本の母ちゃんの死の理由は受け入れがたい。

 

そうなってくると、今思えば宣伝文句にもひっかかってはいた。「ミッドナイトスワンに続く愛の物語」ってとこ。これさ、「ミッドナイトスワン」とは監督さん違うわけじゃん?草彅くんが出てるから続いてるってことになる?全然別の映画でしょ?事務所がスポンサーになった二作目だから?

も1個は「こどもの初めての実写映画に」ってとこ。それを決めるのは観客で、映画を見た後に口コミとかで広がるならいいけど、自ら言っちゃうのはな~って。

後、草彅くんの役どころが映画やドラマでよく見るタイプで凡庸すぎる。

見た映画館の問題かもだけど、美しいはずの長崎の風景の色が浅い(これはあくまで好み。夏だし深い色でも良かったかな)。

 

ただ、茅島みずきちゃんと、八村倫太郎くん(茅島みずきちゃんは知ってたけど、八村倫太郎くんは映画見た後ソッコー検索しましたよ!)はめちゃくちゃ良かった。多くを語らず余韻を含めた役だったこともあるけど、この二人の話で一本映画が見たいくらい。美しくて苦しくて心に残るいい映画になると思うなぁ。