ゆるやかTV blog

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シジュウカラ 最終回 感想

テレビ東京

 

初回から見てました。

さすが山口紗弥加さんを主役にしただけあって、ただの年下男子との恋愛ものじゃなかったねぇ。そりゃ相手役、板垣李光人くんだわな(ただのイケメンじゃ駄目な役)。

 

ずっと感想が書けなかったのはどちらに転ぶか、どう見ていいか分からないドラマだったから。原作は未読だし、最初はふんふん不倫ものかぁ、あんまし興味無いなぁ、でも山口紗弥加さんだし板垣李光人くん(ウール!)だし、見てみるかってな具合でしたが、もうね、一話目からラブなの?サスペンスなの?怖いわ!ってなってね。

 

映像の色味とか、音楽の使い方とか不穏で、急に最悪中の最悪なことが起こってもおかしくない感じで、でもギリギリ起こらなくて、結局人間は皆愚かで、それでも生きてるって話なのかな。

 

主人公だし、まともに見えてた忍も、名前通りに堪え忍ぶだけじゃなくて、自分から選んでいるように見えて、後半は何かに依存していないと生きていけない人のようだった(息子とか、面倒見てあげてる女の子とか)。

 

最終回でやっと他の人たちの独白が聞けて。旦那役の宮崎叶夢さんは圧巻だったな。いるいる、こういう人。自分は何も悪くなくて、うまくいかないことを隠して身近にいる人を自分の思いどおりに動くものだと思ってるパワハラ体質の人。ドラマの会話で出てきたビリージョエルを歌うシーンは映像の雰囲気からまるで映画館で見てるみたいだった。

 

漫画編集者で忍の同級生、岡野。見た目もよくて元カレなのもあって、最初は忍の方がアプローチするんだけど、岡野はけんもほろろで。あー、ちゃんとした人だ、と思ってたら急に岡野から忍にアプローチ。忍が前向きに漫画を描くようになったからかな、と思っていたら、「おばさんなんだから」「賞味期限切れの面倒くさい漫画家」とか言い出して、おいおい旦那と同じ匂いがと思ってたら、独白で元は漫画家目指してたけど駄目で今のポジションの漫画家である忍が丁度よく自分を上げてくれるからって、おい!愛とかそういうのじゃないのね。そして自分の思い通りにならない時の苛立ちね。

 

冬子もね、いるな~って、そうだよなぁって感じ。いっぱい痛い目見て、泣いて苦しんで、今は諦めと惰性で生きている。それでも母親だからそうなる前になんとか踏ん張って頑張ってほしかったけど、一度そういう生活を始めると這い上がれない。救ってくれる誰かなんて普通はやってこないんだから。

 

最後はね、難しいなぁ。ハッピーエンドとは言いきれないよね。シジュウカラが忍の瞳の中にいて。

彼女たちの人生はまだまだ続いて薄氷の上を歩くような毎日が来る時も、外部からの不穏な異物が混ざろうとしてきたり、小さな嬉しいことや少しずつの成長も日々あるわけで。それでもなんとか生きていくってお話なのかな。

 

ザラザラ、シャラシャラした質感とわかりやすくない人間の内面を捉えたわかりやすいを追及するドラマの中では異質な作品でした。