ゆるやかTV blog

TV好きのゆるやか感想ブログです

セクシー田中さん」一視聴者として思うこと

2023年の秋ドラマの中で毎週楽しみに見ていた「セクシー田中 さん」。
ここにきて漫画の原作者の方がなぜか謝罪するという謎展開をむかえている。
発端は脚本家がSNSで原作者の介入により9・10話を書けなくなったって公表したことらしい。正直この脚本家の方の文章がまずかった(とても文章を生業としている人とは思えない)。どう読んでも終盤の展開を面白くないと捉えた人がいても私は悪くない(私が書いたんじゃないんだから)、テレビの脚本に原作者が口を出すことで苦労したんだよ、同じような(原作者が口出すような)ことが起きませんようにって言ってるように受け取れる。
この投稿の反響のためか原作者がいやいやそれは違うよと声明を発表。元々漫画に忠実に、漫画自体が未完なので終盤については原作者自身が加筆する可能性もあるよって契約でドラマ化をOKしたのにあがってくる脚本は漫画を大きく改編してるし原作者が大事にしている部分はすっぽ抜けてるしで、結局終盤前から加筆修正して7話まではなんとか原作通りになったが、原作者が忙しい中執筆した8〜10話の脚本にも大幅改編されたものが送られてくる始末。で、脚本家の人を9,10話は原作者の書いたものをそのまま脚本にしてくれる人に変更してもらったとのこと( つまり原作者さんが原稿を書いてる)。原作者さんはこの投稿で脚本家に言い返しているのではなく経緯を説明してるだけで最後に忙しさと力量不足で9,10話の出来に不満を持った視聴者に謝罪、またドラマスタッフには労いと感謝の言葉を書いている。
これさ〜、多分ね中間に入ってる人がいかんと思うのよ。そもそも漫画とドラマは違うからってことを原作者さんに伝えてなきゃだし 、漫画のままでって契約なら改編しちゃダメなわけよ。契約書類とかどうなってるんだろう。
脚本家がわざわSNSで愚痴を言うのはほんとにどうかと思うけどプロデューサーから改編しないって話ちゃんと聞いてなかった可能性はあるよね。見栄えするように書いてって言われてたりとか。だとしたら愚痴りたくなるのもわからんではないけど、それは内々の酒の場だけにしといてくれ。プロデューサーとかTV局側さらには出版社の人(改編を嫌う原作者さんを利益のために説き伏せたりしたんじゃないかなぁ)も多分原作者の人の真剣度を甘く見てたのよ。で、ドラマ用に脚本書くといろいろ原作者に口出されて自分たち大変〜ってなったんじゃん。で、脚本家の人の文章にそういうのがにじみでちゃった感じ?
一視聴者としてはすごく楽しく見させてもらったからこんなゴタゴタがあったよ〜なんてなんかちょっと悲しい気分よ(原作者さんに 比べりゃなんてことないけど)。正直最終回の最後はふわっとしてんなと思ったけど漫画自体が未完だってのは情報として知ってたし、メインキャラクターを無理にくっつけることなくそれぞれが前向きに進んでて好感が持てたよ。個人的に知りたいのはこのドラマの良さ(女性側・男性側・若い子・親世代・陽キャ・隠キャ、世の中にはいろんな人がいてそれぞれに悩みや思いを抱えてることを教えてくれたとこ)が脚本家が改編してわかりやすく見れたのか、原作者さんが口出ししたからきちんとその要素が残ったのかだよね。
原作読んで確かめてみるかな〜


先日ここまで書いてニュースで原作者の方の訃報を知った。
芦原妃名子先生。漫画は「Bread&Butter」を全巻読んだだけだったけど子どもの心も大人の心の機微も描ける作家さんだと思っていた。
今回、最悪の結果になった理由はきっと誰にもわからないしもう先生が戻ることはない。でもだからこそTV局にはもっと真摯に原作に向き合った物作りをしてほしいと思う。ちらほらと情報が出る中、芦原先生はドラマ化にあたりドラマのプロデューサーにも脚本家にも会っていないということだった。また、先生からの「改編はしない」「何かあれば原作者が書く」との申し出も文書化されてなかったそうだ。令和の時代にこの規模のビジネスで口約束で済まされることに驚いている。ドラマ化する時ってこんな感じなのか。先生の悲報を受けてすぐに日テレが出したコメントはまるで人間味のないものだった。許諾がとれていたから良いという話ではなくてなぜこのようなことが起こったのかをまず調査し、改善策を練るべきではないだろうか。

テレビドラマを作るのが大変なのは関わったことのない自分でも想像できる。演者がセットに入って撮影するまでに脚本を用意してロケハンやロケの許諾、セットや衣装などの作り込み、カメラ割りやスポンサー集め、撮影出来れば週一回の放送に間に合うように編集。忙しさにかまけて(心を亡くすと書いて忙しいとはよく行ったもんだ)原作者の先生への配慮や思いやりがかけてしまったのではないか。そもそもその思いをもっていたのか。正直、割り当てる人員もいないのかも知れないが今回の場合は脚本家を3人くらいたてて、常に先生のところに通わせるべきだった。もちろん作品を読み込んで先生の意図を汲み取れる人だ。そうしていれば先生が終盤前から加筆校正に時間を費やすこともなかっただろう。連載を持っている漫画家はとても忙しいと聞く。その中でドラマの脚本をチェック修正し(このやり取りもかなりの心労だろう)、最終二話は自分で書いたとは明らかにオーバーワークだろう。人間はしっかり寝て食べて天気がいい日は少しでも外に出て適度な運動(散歩でもいいよ)して綺麗な空でも見なきゃメンタルがやられる。オーバーワークが引き起こすのは睡眠時間の欠落による判断低下と全てが悪い方向に向かってしまうと思ってしまうネガティブ思考だ。

芦原先生の作風を思えば命を軽んじる人ではないだろう。そして投稿された文章を読めば真面目で優しい人柄が伝わってくる。真面目で優しい人ほど、今休んだら誰かの迷惑になる、頑張らなきゃと限界を超えて働いてしまう。大事な自分の作品がドラマ化されてもう止められない状況なら尚更だろう。オーバーワークの末、なんとかドラマの体裁がとれた作品をSNSで陰口を叩くような投稿をされたその時、先生の心身は疲弊しきっていたんじゃないか。原作者側の意見を謙虚に書いただけなのにその反響に心が追い付かなかったのではないか。編集担当者はどれくらい先生の状況を把握していたのだろう。先生が出版社とも話して出したとされる声明は先生自ら出さなければいけないものだったのか。

 

先生の訃報のニュースがあがってから3日が経とうとしている。内外からはきちんとした調査をとの声が出ているが、日テレ、小学舘からはそのようなコメントは出ていない。漫画原作でのトラブルは今までいくつもあった。今回ばかりは対岸の火事ではなく各テレビ局、映画会社、出版社も一丸となって今後悲劇が起きないように原因究明、改善対策、今後の方針を打ち出していただきたい。

 

なんでも曖昧にしてお茶を濁すテレビ業界が嫌いだ。ただのドラマファンがこんなに憤っているんだから先生のファンやもちろんご家族ご親族の気持ちはいかなるものか。芦原先生のこ冥福をただただお祈りします。